企画展『繋がり』
Special Exhibitions “TSUNAGARI”

2010年秋、お世話になっている先輩からオファーをいただき、写真展を開催することになりました。この時はまだ企画も考えていなかったのですが、せっかくのチャンスなので二つ返事でお願いしました。何かテーマを持った企画展をしてみたかったので、ハワイで活躍するコーディネイター、ミチ・モイヤーさんに連絡しました。いつも『何か一緒にしたいね!』と話していたミチさんは、企画展全体のデイレクションを引き受けてくださり、プロジェクトは動き始めます。

私とミチさんには共通の価値観がありました。それはハワイで生活している日本人として、大変な時代を生きてこられた、ハワイの日系移民や先輩の皆さんへの敬愛の気持ちです。今ある楽園ハワイの幸せな生活は、全て先輩たちが築いてくれた贈り物に他なりません。この想いを今回の企画展のテーマにすることは、すぐに決まりました。そこで、先輩たちの姿と、時代を生きてこられた証である手のひらを撮影させていただき、若い世代の私たちへ一言メッセージをいただく事にしました。撮影はオアフ島をぐるりと巡り、土地土地で出会った方々ひとり一人にお話しを聞いていただいて、撮影のご協力をいただきました。

私にはどうしてもお会いしたい女性がいました。まだ私が当時旅行者でオアフ島を自転車で一周した時にお会いした、日系移民のお母さんです。ハレイワのスーパーの前で、疲れ果てへたり込んでいる僕に優しい声をかけてくださって、戦時中の話を懐かしそうに聞かせてくださいました。名前も知らない方ですが、そのときに撮影したスナップを大切に持っていました。帰国後、幸運にも私はグリーンカードを得る事ができ、現在のハワイで生活があります。いつかこのお母さんにお会いして、あの時のお礼を言いたいと思っていたので、今回の企画でお会いできないかぼんやり考えていました。

企画会議でこの話をミチさんにしながら、女性のスナップ写真を見せたところ、なんとミチさんが以前勤めていたストアで、良く声をかけてくださった女性という事がわかりました。この女性は、毎週ハレイワからホノルルまで、バスを乗り継いで来られていたそうです。よくある「偶然」かも知れませんが、名前も知らない共通の女性に導かれるように、私たちはハレイワへ向かいました。

ハワイワ・タウンの入り口にある、ハレイワ真言宗の秋山住職に取材を申し込み、撮影させていただきました。取材の後、私たちが知り合ったハレイワの女性の話をして、写真を見ていただいたところ、ご住職がご存知の女性でした。私たちが知り合った女性のお名前は、リリアンさん。ハレイワでオーダーメイドのハワイアンシャツで有名だった、H. Miura Storeのお針子さんとして従事され、数年前にお亡くなりになられた事も教えてくださいました。

リリアンさんのご家族がハワイにいらっしゃるとの事で、Miura Storeのご協力で、娘さんとご主人さんにお会いすることができました。この企画展の事や、私たちそれぞれのリリアンさんの思い出をお話しさせていただき、お線香をあげさせていただきました。最後に、リリアンさんが話されていたというメッセージもいただき、出品させていただく事をご快諾くださり、リリアンさんのご家族は企画展初日にご来場くださいました。

繋がり ~きっとどこかで繋がっている~

人、地域、社会、自然、そして地球。私たちは身近にある小さな『繋がり』でなりたち、その全てが絶妙なタイミングで支え合っています。しかし『繋がり』は日々の生活の中に当たり前にあるものなので、時として見えなくなる事があります。今ある幸せな生活や社会も、多くの先輩方の知恵と努力の賜物であるにもかかわらず、どこからやって来たのかさえ忘れてしまう時があるのです。私たちは幸せという宝物を受け継ぎ、次の世代へと繋ぐ責任を担っています。先輩方の顔や手に、無言で語る歴史の重さを感じシャッターを切りました。この写真展を通じて、次世代へ繋ぐ責任を持った私たちの進むべき道を探ることができたらと思います。

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